今秋のNHK朝ドラになる、ニッカウヰスキー創業者
日本のウイスキーの父 竹鶴政孝物語
第二回
夢の旅立ち
阿部社長は積年の夢を語りだした。
その夢は政孝自身の夢でもあった。
「これからはきっと、本格ウイスキーの時代が来る。その時になってからでは遅い。
準備をしておきたいのだよ。」
「社長、スコットランドですね。」
「そう、スコッチ・ウイスキーの故郷さ」
念を押すまでもなかったが、政孝は阿部の瞳の奥のやさしい光に応えた。
政孝は鳥肌が立つのを覚えながら、ウイスキーづくりの理想郷スコットランドの
風土に、精一杯の想像力をめぐらせた。
1918年、政孝はひとりスコットランドに向けて船に乗り込んだ。
万年筆と日本のウイスキーの未来を携えて。