今秋のNHK朝ドラになる、ニッカウヰスキー創業者
日本のウイスキーの父 竹鶴政孝物語

第十五回

 試練の寒風は吹き止むことなく続いた。だが、社員の結束は以前にも増して強くなり、原酒はさらに豊かに、もっと深く眠り続けることを約束された。

 政孝の歩んだ挑戦の道も、多くの人々に鼓舞され励まされた軌跡の中に輝いている。決して平たんではない道だったが、高潔な先達との出会いによって政孝はひとまわりも、ふたまわりも大きくなった。

 「マッサン、少し休んだらどう」

 「リタこそ働きづめじゃないか。すっかり手が荒れてしまったね。」

 政孝はリタの手を気遣ったが、リタにとっては政孝と過ごしたかけがえのない日々の証しに思えた。