6月20日は、竹鶴政孝氏生誕120周年

今秋のNHK朝ドラになる、ニッカウヰスキー創業者

日本のウイスキーの父 竹鶴政孝物語

 

 

 

第七回

 

 

 

 日本郵船が横浜港大桟橋に接岸したのは、1920年もすでに秋色を濃くしていた頃であった。

 

 

 

「あなたのお国に、ついに来たのね」期待と不安がリタの胸の中を駆け巡っていた。

 

 

 

その気持ちを察してか、政孝が甲板で彼女を軽く引き寄せた。

 

 

 

「いよいよ僕らのウイスキーがつくれるね」リタはまだ、心のどこかでスコットランドの家族に詫び続けているのだろうか、政孝は遠くの山並みに眼をそらした。

 

 

 

さぁ、私たちを待ち受けている未来への第一歩だ。

 

 

 

政孝は本格ウイスキー蒸留の青写真と愛妻を抱きかかえながら、タラップを一歩一歩ふみしめた。

 

 

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