今秋のNHK朝ドラになる、ニッカウヰスキー創業者
日本のウイスキーの父 竹鶴政孝物語
第四回
穏健だが毅然とした工場長は分厚い手で握手しながら
「ミスター・タケツル、君の鼻は素晴らしい。
ウイスキーづくりに鼻は大切だ。」と顔の真ん中を褒めてくれた。
来る日も来る日も、朝から夜遅くまで現場を歩きまわり、
人の嫌がる仕事も勉強だと進んでこなした。
だが、肝心の蒸溜器には外国人の政孝は容易には触れることすらできなかった。
ある夜、年老いた職工が、蒸溜器の操作を手ほどきしてくれた。
現場での心得をこの老職工から学び、一つひとつ積み上げていった。
蒸溜所での技術修得を進める内に、政孝は「ウイスキーを決定するのは技術だけでなく、
大麦、水などをの自然であり、その自然を敬び酒をつくり上げる人間の心、そして熟成させる
時である。」という生涯抱き続ける考え方にまで辿り着いた。
この実り豊かかなスコットランドでの体験は、政孝に大きな自信と、もうひとつ粋な贈り物を
与えることとなった。
生涯連れ添うことになるリタとの出会いである。